情報技術の進展はすさまじいスピードである。

  • 大型コンピューターからパソコン、さらにインターネットへと進化して、企業や産業、さらに社会の在り方を大きく変えてきたが、今また、「クラウドコンピューティング」が変革の主役として登場してきた。
  • ネットワーク経由で、効率的にユーザーが情報資源を共用する。
  • 従来の情報システムよりも低コストで、またシステム構築が容易で利便性が大幅に向上する。
  • 発展途上で、その定義すら固められないほどに刻々と内容が深化しているが、企業や社会を激変させるパワーを秘めている。

「雲」の中に情報資源

「雲」の中に情報資源 「クラウド」とは、雲のことである。

  • 企業運営や社会システムの運営に必要な情報資源はネット上の巨大な「雲」の中にあって、ユーザーはパソコンやクライアント端末、携帯電話などの端末画面を見ながらメニューを選択し、必要な作業ができる。
  • この「雲」はインターネットに代表されるネットワークのことで、端末から「雲」を利用して情報操作をするのでクラウドコンピューティングと呼ぶ。

コンピューター機能を必要なときに必要なだけ使える。

  • 端末装置をクラウドに接続するだけでコンピューター機能を必要なときに必要なだけ使える。
  • 水道の蛇口をひねれば水を得られるように、情報処理機能もクラウドにつなげば簡単に得られる仕組み。それが、クラウドコンピューティングが目指す方向である。
  • どこに情報が保管されているか、ユーザーは気にする必要はない。どこで情報が処理されているかもユーザーは気にする必要はない。法律や制度の整備が必要にはなるが、もしかすると、その情報処理や保管の場所は国境を越えたどこかの国かもしれない。
  • もちろん、国家情報や個人情報、医療情報などの特別な領域の情報は厳格な管理を必要とするので、今後はクラウドで取り扱う情報についてのガイドラインが制定されるだろう。
    仮想化で効率アップ

クラウドコンピューティングの意味は進化して、

  • クラウドコンピューティングの意味は進化して、単に「ネットワークを利用する」という意味だけではなくなった。
  • 情報資源を効率よく利用する技術が次々に登場して、それがクラウドコンピューティングに既存秩序を破壊するようなパワーを与えている。
  • その一つは、情報を処理・加工し、データを蓄積するサーバー類の利用効率を飛躍的に上げた「サーバー仮想化」の技術である。
  • 従来の情報システムでは、多数のサーバーを利用して多数の業務を処理してきた。ところが、一つひとつのサーバーの稼働率は低く、大半は待機状況で空き時間が長い。空き時間に他のサーバーで処理してきた業務を行えば効率が飛躍的に向上する。空いているサーバーを見つけて自動的に業務を振り向ける技術が向上して、全体のサーバー数を数分の一、あるいは数十分の一に集約してコストを大幅に削減することができる。
  • もう一つが、さまざまなサーバーやソフトウエアを連携させるための接続技術の「標準化」である。
  • 多数のサーバーを連携させ、また、業務を連結してゆくには、技術の標準化が不可欠だ。インターネットの進展に伴って、これらの連携の重要性が認識された。コンピューターメーカーやネットワーク関連機器メーカー、通信事業者、ソフトウエア開発企業など、業界全体でグループが作られ、標準化作業は急速に進んだ。コンピューターメーカーや機器メーカーでも自社製品の標準化を進めた。これがクラウドの基盤を作っている。

さらに重要なのは自動化である。

  • サーバーやハードディスクの割り振りやアプリケーションの組み合わせなどが、システムの背後で働くソフトウエアによって自動的に実行されている。
  • 空いているサーバーの点検やソフトウエアの組み合わせを人間が手作業で実行していたら、作業は複雑すぎて機動的な運用はできないだろう。

☆CADは製図Toolですが万能Toolではありません

 CADで書いてみれば思ったより時間が長くかかった。作図スピードが遅いとよく言われる。こんな言葉がよく返ってくることがあります。

 CADによる作図が遅いと言われるのはCADの特性を十分に理解されていない人が口に出される言葉だと思っています。CADで設計製図をすれば早くなると実感するのは実際にCADで作図して判ってくるものです。しかも、CADも不得手なものがあると判るのも実際に作図して判るものです。

 CADは従来の設計で使用していたT定規やドラフターと同様に製図Toolです。したがって設計者の能力・技量よってスピードは異なることはいうまでもありません。
 しかし、CADは製図知識以外に製図ソフトのルールを覚えることとパソコンの操作能力が要求されます。

 優れた設計製図者でもパソコンアレルギーの方にはCADを自由自在に操作することができません。私はCAD歴10年余りですが、いまだに左右の人差し指でしかキーボードを叩くことができません。また、製図ソフトには様々な便利ツールが多く装備されていますが、線引き、曲線引き、複写、削除・・など最小限必要な操作しか利用できませんが、製図スピードは他の人には引けをとらないと自負しています。それは、CADを製図のToolと心得て使っているからです。

☆CADが得意なもの

 第1に編集設計があげられます。CADで書いた図面データを簡単に早く利用できること。つまり、図形のかたまりを自由に転写・反転・回転できることです。
 第2に正確な図面が書けることです。
 第3に図形尺度を一瞬のうちに変更することができることです。
 第4に多くの要素を一度で一瞬のうちに消すことができることです。

細かな利点はまだ多くありますが、主な点は以上です。

☆CADが不得意なもの

 第1に得意なことが不得意になる要素があります。
つまり、操作ミスがあります。作図はすべてキーボードで寸法を入力しますので、入力ミスを起こすと間違った図面が描かれ、そのミスを探すことが難しいことです。特に自分で設計した図面で展開図面を書かない場合はミスに気づきにくいです。したがって不必要にチェック時間をかけてしまうことがあります。
 第2にスケッチ図が書けないことです。スケッチはフリーハンドで描くものです。寸法をその都度インプットして書くのではスケッチになりません。
 たとえば構想図面を書く場合は従来の手書きでは尺度にこだわらず描くことがありますが、CADでは適当に寸法をインプットして書くことはあまり歓迎されません。つまり、CADの得意なもの・メリットを打ち消すことになります。また適当に描いた図形に寸法を入れるのにも一苦労することになります。
 第3に文字の記入です。文字入力は転写という機能が利用できない限り手書きより早く書くことはよほどキーボード操作が早い人でない限り難しいでしょう。

☆スケッチ図のCAD図化、トレースはスピードが遅い

 CADの特性から見た場合、スケッチ図や手書き図面をCAD図面にするにはいずれも図形の測長が必要になります。寸法が記入されている箇所は問題ありませんが、記入されていない図形の寸法は実測して寸法をインプットする必要があり、CAD操作者の裁量で作図することになります。

 これらの図面はCAD図面に書き換えてもCADデータとして利用するには信頼性がありません。従来の手書き図面をCAD図面に書き換える場合も同様です。図面には組立図、部品図がありますが、必ず部品図から寸法を読み取って正確な組立図を作成する必要があります。

 CAD図面にするのは新図面を描くための図面データとして使用するのが大きな目的であるはずです。単に清書するだけであれば見栄えを目的とするだけで時間(人件費)を浪費することになります。

☆製品をスケッチしてCAD図面で描くのは危険が多い

 製品をスケッチする場合は測定具で全体を測定して図面化しますが、測定精度が問題となります。CADで図面を書くのは単にきれいな図面というのでなく正確な寸法で描かれた図面であることが大切です。
 スケッチによる図面化の目的によりますが、図面データとしては使用できませんので、コピー製品を製作するために図面化をする場合は応急的に製作するためであれば良いかもわかりませんが、製作図面として残すものであれば、スケッチする製品を熟知する設計者が検図して、寸法・形状を見直す必要があります。
 互換性を必要とする製品の場合は更なる注意と検討が必要です。本来はスケッチする製品を外観的な寸法測定だけでなく、機能・品質を分析して、スケッチ製品と同様あるいはそれ以上の機能・品質を有し、形状・寸法を類似させたものに設計しなおして、図面化することが望ましいと思います。

☆CADで作図スピードを速めるには

 CADはインプットにミスがなければ正確な図面が描かれます。したがって、作図作業以外の時間を少なくすることが大切です。
 正確な図面が要求されるのは製作用図面です。従来の設計製図の手順は組立構想図面を描いた後、部品製作図面を作成する段階で具体的な寸法を決めて作成して、最後に組立図を完成させるのが私の手順でした。
 しかし、CADの場合は組立(構想)図面の段階で具体的な形状・寸法を決めて作図する必要があると思っています。特に嵌め合い部分、取り付けボルト位置、サイズ、穴の形状に至るまで描くようにしていました。初めからでなく、CADを使いこなしていくにしたがって考え出したひとつの知恵でした。

 組立図の段階ですべてのチェックを終わらしてしまうことが大切です。各投影図で部品すべてが判別できるまで具体化することで、機能・性能の検討を含めて完成させることができれば、部品図を展開するのは簡単で時間はさほど要しません。
 組立図から必要な部品の図面をコピーして製作図面に転写する。後は寸法・公差、諸記号を追記すれば完成となります。寸法チェックは基本的には必要ありません。
 組立構想図面を作成した設計者が製作図面を展開すればなおさら時間短縮になるでしょう。

 CADで作図するには基本となる図形が重要です。CAD図面は作図後のチェックを重点とするのでなく、インプット操作を含めた最初の段階が大切と考えています。
 構想図面、組立図面が不十分で、寸法的な信頼性がない場合はミスが発生する確率や作図時間が長くかかるのは当たり前です。
 CADの出現により従来のトレーサーあるいはトレーサーに近い製図者は不要となるのが通常ですが、パソコンアレルギーの設計者が存在する限りCAD操作者が要求されることはこれからも続くと考えられます。
 しかし、CAD操作ができない設計者はいずれ淘汰されると思っています。
作図スピードを速めるにはCAD操作者に甘んじることなく、設計者を目指すことが大切と思っています。