新刊発売

はじめに
いまや知らない人はいないほど浸透した無償の2次元CADソフト「Jw_cad」と、使いやすさで人気の3次元CADソフト「SketchUpMake」(非営利利用で無償)を、無償のJw_cad外部変形ソフト「RSJww」で連携して設備施工図の3次元立体化を実現しました。
建設業で重要とされる建築設備施工図は、豊富な経験と知識を必要とする大切な技術にもかかわらず、リーマンショックから続いた長い不況で熟年技術者から若年技術者への技術継承が憂える事態になっています。
施工図は、他業種と十分な調整や照合が必須にもかかわらず、その難しさと複雑さが若年技術者にとっては重い負担になっています。地中梁を貫通する給排水管・ガス管・その他の管位置等は、建物の耐震性等に影響する大切な要素です。ピット内の限られた空間内に複雑に交差する配管類を関係業者全員が短時間に等しく理解するのには、ピット内配管の3次元立体化表示は非常に有効な方法と考えます。
本書では、使い慣れたJw_cad施工図を建築図と照合させ、素早く3次元立体化表示させて問題を解決するヒントを提供いたします。作成した設備施工図は配管の梁貫通箇所の位置と高さを立体化表示でき視点を変えて360 度どこからでも確認できます。PC性能の向上とインターネット普及は、高速多量データを送受信できる環境を実現しました。メールやデータ送受信で時間や場所を選ばず打合せもできるようにもなりました。
クライアントの「見える化」要求は、建物外観や間取り、建物の裏・床下や天井内の設備配管等にも及んでいます。こういった要求に応えるには、3 次元CADが一般的ですが、どのソフトも非常に高価
であり趣味や個人では使用できる環境にはありません。本書では、すべて無償で使用できるソフトを組み合わせ、誰でも簡単にを体験できる環境を提供しています。
Jw_cadには高さ情報を持たせた図面データを作成しワイヤーフレームとして立体表示できるようにした「2.5D」があります。このデータを「外部変形」で外部に出力、SketchUpの「プラグイン」で読込処理させ、SketchUpで立体表示するものですが、外部変形で使用する「RSJww」は汎用性がありますので、ご興味のある方は、いろいろな業種の「見える化」に是非チャレンジしてもらいと思います。
最後に「RSJww」を本書付録に収録することを快諾してくださった日野真琴氏に深く感謝をいたし
ます。

2018 年6月

佐藤正彦